特定の作物に特化した経済構図モノカルチャー経済とは?

特定の産業に偏った経済の構図を表したモノカルチャー経済。特定の産業に特化することで、技術の効率性が高いことや国際価格の変動によって高収益を見込めるなどのメリットがありますが、一方で、国の経済が安定・発展せず、さらには自然破壊にもつながるというデメリットもあります。

植民地時代の影響を引き継いでいるモノカルチャー経済。その背景とは?

モノカルチャー経済に大きく影響を与えてしまったプランテーション農業。植民地化が盛んに行なわれていた時代、欧米諸国が、自国に都合の良い国際価格の高い農作物を、気候にあった地域(特に、アフリカ・東南アジア・ラテンアメリカなど)を植民地化して、そこに住む人たちを安い賃金で働かせていた農業形態です。欧米諸国の工業化が進むなか、安い労働を強いられていた植民地地域では工業化が進まず、国際経済から置いていかれるようになりました。第二次世界大戦後、独立する地域が増えましたが、プランテーション農業に頼ってきた地域は、引き続きプランテーション農業に頼らざるを得ず、モノカルチャー経済状態となっていきます。

モノカルチャー経済のメリット・デメリット

ここまでモノカルチャー経済が悪いことのように書いていますが、メリットももちろんあります。ここでは、メリットとデメリット両方についてお伝するので、ぜひモノカルチャー経済の理解を深めるために参考にしてみてください。

メリット

モノカルチャー経済では、一つの産業に特化しているため開発が必要な技術も少しで済み、栽培に必要物資も一括購入できるのでとても効率的に栽培できるのがメリットです。とても効率的に行えるため、規模を拡大させやすいのもメリットの一つです。また、国際価格の変動によっては、高収益を上げることも期待できます。

デメリット

デメリットとしては、収益が安定しないことがとても大きいと言えます。その原因となっているのが、国際価格の変動・天候や気候の影響です。モノカルチャー経済では、農作物や石油などの一次産品が多いため、天候や気候の影響で不作になったり、品質の低下に繋がったりする恐れがありますし、輸出によって収益を上げている以上国際価格の下落が大きな影響になります。さらにデメリットしてあげられるのが、自然破壊です。大規模な畑を確保するために森林が破壊されたり、焼畑農業が行なわれて土地が痩せてしまったり、発展途上国の農業による自然破壊も深刻な問題となっています。

モノカルチャー経済を脱却できない原因とは?

発展途上国がモノカルチャー経済から脱却できないとして、ここでは「教育」と「貧困」をもとにお伝えします。モノカルチャー経済を脱却できない原因を知って、いまの自分にできることを考えてみましょう。

基礎教育を受けることができずに、将来を担う人材が育たない

多くの子どもが、少しでも多く生活費を稼ぐために幼いうちから働かされています。その結果、ちゃんとした教育を受けられないまま大人になってしまう子どもが多く、産業分野を開拓できるような人材が育たないのが、モノカルチャー経済から脱却できない国の原因の一つです。その大きな理由は貧困にあります。売れる作物の価格は安く、一日を生きるのに精一杯なため、子どもは幼いうちから働かされているのが現実です。

自国の食料自給率が低く、1日を生きるだけで大変

モノカルチャー経済から抜け出せない国では、食料自給率が低く、一日を生きるだけで大変なため、モノカルチャー経済から脱却するために投資できる余裕はありません。子どもを働かせなくては、一日の生活がままならない状況の中、現状を解決するために行動することは難しいと言えるでしょう。また、教育面でも、両親も同じように教育を受けてこなかったため、教育の重要性にも気付きにくく、学校も近くにないことがほとんどのため、子どもに教育を受けさせるという考えが生まれにくいのも事実です。

モノカルチャー経済の脱却のために、私たちができる身近なこと

モノカルチャー経済を脱却するためのキーポイントは、「貧困の解消」と「教育体制の援助」だと言えます。ここでは、この2つのことにフォーカスをして、私たちにできる身近なことについてお伝えします。ぜひ、やってみたいと思うことがあれば、行動に移してみましょう。

フェアトレード認証を受けた商品を購入する

フェアトレード認証を受けた商品を購入することで、生産者や労働者の生活の改善に貢献することができます。フェアトレードとは、適正な価格で取引を行い、生産国の生産者や労働者の生活を改善するための運動です。下のマークが付いている商品がフェアトレード認証を受けた商品なので、商品を購入するときは気にして見てみましょう。フェアトレードが行われる商品は、主に、コーヒー・カカオ・茶・コットン・切花・スポーツボールなどがありますので、まずは、普段購入しているものをフェアトレード認証を受けているものに買い換えるだけで、発展途上国の人たちの生活改善に貢献できますよ。

フェアトレード認証ラベル
フェアトレード認証ラベル

NPO法人の寄付に参加してみる

NPO法人に寄付を行うことで、発展途上国の生活環境の改善に貢献できます。貧困国の生活支援をおこなっているNPO法人は、ユニセフWorld Vision Japan(ワールド・ビジョン・ジャパン)などです。少額からでも寄付ができますので、まずは500円ぐらいから寄付してみませんか。

寄付を行うと、発展途上国の生活支援に参加できるだけでなく、寄付をした人にとっても嬉しいメリットがありますよ。認定NPO法人に一定額以上寄付をした場合は、所得額から寄附金控除を受けることができます。年に6万円ほど寄付を行った結果、1万3000円ほどのお金が戻ってきました。NPO法人への寄付は、人のためにお金を使えて、さらに税金対策もできるのでとてもおすすめです。

寄附金控除については、認定NPO法人への寄付でなければ受けられないので注意しましょう。NPO法人の公式サイトを読めば寄附金控除を受けられるかどうかが書いてありますので、寄付の申込みをする前に一度調べることをおすすめします。

モノカルチャー経済に陥っている国のことを知り、情報発信する

モノカルチャー経済についてどんどん情報発信していくことでも貢献することができます。今では、SNSが普及しているので、一人一人の発信がとても重要な時代です。モノカルチャー経済について知らない人たちや、貧しい国の原因や現状について知らない人たちは、教育が進んでいる日本でもたくさんいますので、知ってもらうことで協力者を募ることにつながります。気軽にできる行動なので、ぜひチャレンジしてみてください。自分の発信が他の人の行動を変えたり、反響があったときには、何にも変え難い嬉しさがありますよ。

無理をしないで、自分のできることから始めてみよう!

この記事では、モノカルチャー経済の意味や問題点・身近にできる解決策についてお伝えしました。少額から寄付を行うこともできますし、普段コーヒーを飲む人は、フェアトレードコーヒーに変えてみるだけでも、発展途上国の人たちの生活に貢献できます。何か新しいことを始めようとするとエネルギーが必要になりますが、貢献活動は意外にも日々の生活の一部を変えてみるだけでできることがたくさんありますので、まずは、無理をしないでできることから始めてみましょう。